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より良いホームページを制作するためのヒアリング考察

前田 大地

成果を上げるホームページ制作過程において、重要なステップが「ヒアリング」です。ヒアリングとは、読んで字のごとく「聞く」ことです。ホームページ制作の場合、制作者が依頼者の話を聞くことで、課題を見極め、最適な提案を目指します。

セブンシックスでも、ホームページ制作のオファーをいただいた際、まずはじめに依頼者と直接お会いして、詳細なヒアリングを行います。そして、そこから提案書や見積書を作成していきます。ヒアリングは、提案する内容そのものを左右する重要なパートと言えるでしょう。

しかし、実際のところ、ヒアリングは非常に難しい。相手がいきなり本音で語ってくれることは稀ですし、質問によっては答えが分からないことや、答えられないこともあります。そもそも、相手が課題自体を認識していないケースもあり、何も考えずに質問責めにして聞き出した情報を整理したところで、見当違いの提案をしてしまう恐れもあります。

今回は、セブンシックスがこれまで多数のヒアリングを実践した中で培った、ヒアリングにおける心構えと、ヒアリングの果たす役割について、制作者視点でお話したいと思います。

ヒアリングの心構え

多くの制作会社では、ヒアリングを営業活動の一部として捉えていることが多いと思います。事実、ヒアリングの進め方によって、クライアントをその気にさせたり、制作者側に有利な条件へと持ち込むことができます。営業マンの腕の見せ所ですね。

しかし、セブンシックスでは、ヒアリングに交渉や駆け引きを持ち込むことはありません。これには大きな理由が2つあります。

依頼者の利益を考えることが制作者の利益に繋がる

まず第一に、ヒアリングの目的は、「制作者側の利益拡大」ではありません。あくまで「依頼者にとってベストな選択肢を提案する」ことです。私たち制作者は、いかに依頼者にとって最善の提案ができるかに神経を集中する必要があります。対価は、提案するまでにかかった労力ではなく、提案の質に対して支払われます。

依頼者はお客様ではなくパートナー

もうひとつ。依頼者は「お客様」ではありません。同じ目標に向かって協力すべき「パートナー」です。今は信頼関係を構築する大事な段階ですから、こちらの余計な打算で、相手に不信感を抱かれてもメリットはありません。人間の嗅覚を舐めてはいけません。精神論かもしれませんが、「駆け引きをしない」と決めてヒアリングに臨むことで、言葉巧みに相手をコントロールしようとするよりも、お互いにとって遥かに有益な結果が得られます。負い目のなさが勝ちを呼ぶ、ってやつです。

ヒアリングの役割

提案に必要な情報を聞き出す

ホームページ制作のためのヒアリングであれば、制作者は「どんなホームページを制作したら良いか」を考えるために、依頼者から情報を聞き出すことが最大の目的です。

例えば、新規開拓のためのホームページであれば、「提供する商品やサービスについて」「業界について」などの基本的な情報はもちろん、「現在どのような手段で新規開拓をしているのか」「既存客はなぜ自社のサービスや製品を選んだのか」などなど、提案のヒントになる項目も質問していきます。

依頼者は、ホームページに関しては素人かもしれませんが、自分のビジネスに関してはプロ中のプロです。積み重ねてきた業界知識は、制作者が自分の力だけで得られるものではありません。

依頼者が制作者に期待していることを知る

ヒアリングを行っているということは、何らかの経緯で接点が生まれ、依頼者からのオファーがあったはずです。そして、そこには、依頼者が制作者に対して抱く「期待」があります。

「どのようないきさつでオファーをしていただいたのか」「どうして数ある制作者の中から自分たちを選んだのか」のような質問をすることで、相手が自分たちに対してどんな期待をしているのかが分かり、それを裏切らない提案ができます。

依頼者に自身の課題として認識してもらう

ヒアリングが開始した時点では、依頼者も自分の考えがまとまっていないことがほとんどです。制作者に対して、天才的なアイデアを出してくれる「魔法のスイッチ」のような幻想を抱いていることもあるでしょう。

このような状態でこちらから何か提案したとしても、依頼者はその場の雰囲気に流されることになり、その時の気分によって結論が変わってしまいます。このような状態のまま先へ進んでも、お互いが右往左往するばかりです。

まずは結論を急がず、事実の確認からはじめ、ひとつひとつ丁寧に順を追って話を進めることで、依頼者の中で課題を噛み砕き理解できる体勢が整います。そして、依頼者が自分の頭で考えることで、その意見や判断にも芯が通るようになります。その後の手戻りが減ることは言うまでもありません。

依頼者を理解して信頼関係を築く

相手を理解することは、信頼関係構築の第一歩です。人は、自分のことを理解していない人にあれこれ意見を言われるのを嫌います。

制作者もプロですから、例え少ない情報からでも、経験を頼りにある程度の解決策を導き出すことができます。しかし、依頼者からすれば、いきなり知らない相手から偉そうに意見を言われても「あなたに私の何が分かるの?」と、拒絶反応が出るのは当然のことです。

逆に言えば、それがどんなアウトプットになろうとも、依頼者やビジネスの状況をきちんと理解した(と、依頼者が感じた)上での提案であれば、受け入れてもらえる可能性は高くなります。そのために、提案の前段階であるヒアリングをきちんと行い、信頼関係を築く必要があるのです。

制作者の経験と成長

ヒアリングは、制作者にとって非常に多くの得るものがあります。

自分の知らない業界の知識やアイデアが得られたり、経営者の考え方を間近で触れられたり、コミュニケーションスキルの上達、自分たちのマーケティングを改善するための貴重な意見、そして、これから制作するホームページで成果を上げられるという実績。数えればキリがありません。

依頼者の年齢や役職に関係なく、どんな方の話も、多くの学びが得られます。セブンシックスにオファーをくださる依頼者は、みなさん真剣にこちらと向かい合ってくれるため、ヒアリングは私にとっても大切な成長の場になっています。

より実りあるヒアリングにするために

今では、コミュニケーションツールも発達して、直接会わなくてもヒアリングが行えるようになりました。しかし、人間のコミュニケーションの85%が非言語的なものだという研究結果があるように、実際に会うのと会わないのでは大きな違いがあります。

セブンシックスでは、立ち上げ当初から依頼者に直接お会いしてのヒアリングを徹底してきました。ありがたいことに、遠方からのご依頼をいただくこともありますが(なんと、海外在住の方からオファーをいただいたこともあります)、直接お会いできないケースでは、泣く泣くお断りさせていただいております。

特に、セブンシックスのようにコンサルティング要素を含む制作者にとって、ヒアリングは提案内容の質を大きく左右します。私は、これからもアナログな手法を継続していきたいと考えています。まだまだ勉強と試行錯誤の毎日ですが、ひとつひとつのヒアリングを真剣に行い、依頼者と一緒に成長していけたら嬉しいです。

Web Designer / Developer

前田 大地

沼津高専中退。デザイン会社、システム開発会社を経てセブンシックスを設立。マーケティング、デザイン、テクノロジーに精通するオールラウンダーとして、県内の中小企業に向けた戦略型ホームページ制作を開始。一方で、都内の広告代理店からの要請で大企業案件にも多数参加。企業が本当に必要とするホームページ制作とは何か、を日々探求している。

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