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セブンシックス・ノート

第7回 ホームページの文章

誰に向けて文章を書くか

あるところに、「ラブレターを書いてから、誰に渡すか決める」という人がいました。その人は、なかなか女性を射止められずに困っていました。そんな彼に、一言だけアドバイスをお願いします!と頼まれたら、あなたはどう答えるだろうか?

私だったら、「それはちょっと順番が違うよね」と答えるに違いない。

ラブソングだってそう。髪の長さや声の高さ、ちょっとした仕草やクセまで、リアルに想像できる相手がいるから、素晴らしい歌詞ができる。「誰でもない誰か」に向けられた歌は、きっと当たり障りのないフレーズしか出てこないはずだ。

それなのに、ホームページはどうだろう。いまだに私のことを「どこかの誰かさん」と呼びかけてくるホームページで溢れかえる。どうしてだろう、私はここに1人しかいないのに。

ホームページの文章は、目の前にいるひとりのユーザーのために書く。これが基本だ。

文章の都市伝説

ホームページにおいて、ユーザーの信頼を得るために文章が占める役割は大きい。にもかかわらず、ホームページの文章について、いまだに多くの都市伝説がはびこっている。

以下は、私がクライアントからよく尋ねられる質問とそれに対する私の考えだ。

「文章なんて誰も読まない」は嘘

ホームページに色々ごちゃごちゃ書いたって誰も読まねえよ、という意見を持っている人がけっこう多い。しかし、それは半分嘘だ。小説を読む人やマンガしか読まない人、日経新聞を毎朝読む人やテレビ番組欄しか見ない人がいるのと同じで、ホームページの文章も読む人と読まない人がいるのは仕方がない。でも、それは、その人にとって重要な情報か否かの違いだ。

ユーザーは、自分が知りたいことが書いてあれば、長くても読む。だから、できるだけ詳しい情報を掲載したほうが良い。問題は、ホームページが紙媒体に比べて長文を読みにくいことにある。私たちは、読みやすさに最大限の配慮をしなければならない。

例えば、見出しをマメに入れれば、長文でも流し読みがしやすくなる。さらに、見出しを読んである程度の内容が分かればなお良い。このような細かいテクニックについては省略するが、ネットで検索すれば様々なテクニックが見つけられるので参考にしてほしい。

「詳しく書いたら問い合わせが減る」は嘘

そんなに詳しく書いちゃったら問い合わせが減っちゃうんじゃないの?と、心配されることがよくある。しかし、そのほとんどは杞憂である。

ユーザーは、そこに知りたい情報が無ければアッサリとページを閉じてしまう。ユーザーは、驚くほど自分勝手だ。逆に、知りたい情報がきちんと書かれていれば、信用してくれる。例えそれが既知の情報であってもだ。

私たちは、「詳しく書いたら問い合わせが減る」ことよりも、「詳しく書かなかったせいで土俵から降ろされる」ことを、まずは心配するべきなのだ。

「誇張表現でユーザーの注意を引く」は嘘

手っ取り早くユーザーの注意を引こうと、過度な誇張表現を使う人がいるが、信頼を失いたくなければすぐに止めたほうがいい。ユーザーのことを、何にでも引っかかる馬鹿だと決めつけてはいけない。あなたが考えている以上に、ユーザーは賢い。

インターネットには、疑わしい情報がたくさんあることを彼らは知っている。誇張表現や嘘は、ユーザーの猜疑心をくすぐるだけだ。事実をすべて伝える必要はないが、絶対に嘘をついてはいけない。

「デメリットを隠す」は嘘

誰もが騙されまいと必死な世の中だからこそ、デメリットをきちんと伝えたほうが、結果としてユーザーに信頼してもらえることが多い。今は誰もが自由に情報を発信できるため、デメリットをいつまでも隠し続けることは難しい。

ただし、デメリットだけを伝えろというのではない。あくまでも、メリットを引き立てるためにデメリットを利用するくらいの意気込みが必要だ。

ユーザーは、自分に不利なことをわざわざ教えてくれるホームページは信頼できる、と考える。企業の真摯な姿勢こそが、ユーザーの信頼を勝ち取るのだ。

文章こそ資産

企業にとっての真の資産は「人材」だと言われている。では、ホームページにとっての資産とは何だろう。

私は、「良い文章」と「良い写真」だと思う。

これらは、デザインやレイアウトなど、その場限りの資産とは違う。将来ホームページをリニューアルするときにもそのまま引き継げるし、チラシや会社案内など他の媒体にも応用できる。

キャッチコピーを変えて、売り上げが何倍にもなった商品は多い。ホームページにおいても、文章はとても重要なものなのだ。

前田 大地

Designer / Developer

前田 大地

沼津高専中退。デザイン会社、システム開発会社を経てセブンシックスを設立。マーケティング、デザイン、テクノロジーに精通するオールラウンダーとして、県内の中小企業に向けた戦略型ホームページ制作を開始。一方で、都内代理店からの要請で大企業案件にも多数参加。企業が本当に必要とするホームページ制作とは何か、を日々探求している。

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