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ユーザーの意思決定プロセスに「入り込む」ためのホームページづくり

前田 大地

「ホームページを作った」と、「ホームページが機能した」は、まったく違います。実際、見た目は整っているのに、問い合わせにも採用にもつながっていないサイトは少なくありません。

こういった状況になるのは、「どう見せるか」より前に整理すべきことを後回しにしているからです。

私はホームページを制作する立場から、「ホームページはユーザーが課題を解決するために利用する意思決定ツールだ」という考え方を軸に仕事をしています。今回は、その視点を少しお話しさせてください。正解のある話ではありませんが、「うちのサイト、ちゃんと機能してるんだろうか」という問いを持ち帰ってもらえると、書いた甲斐があるというものです。

ホームページは「探している人」に届くツール

まず、ホームページがどういうメディアなのかを改めて整理したいと思います。

テレビCMを想像してください。これって、見ようと思っていない人の目にも届きます。自分の人生には全く関係ない会社が突然、視界に入ってきます。ホームページはその逆です。何かを探して、検索して、たどり着く。そういう能動的な行動の結果として接触するメディアです。

最近は、検索エンジンだけでなく、AIに問いかけて情報を集める人も増えています。手段は変わっていますが、構造は同じです。何かを知ろうとしている、何かを解決しようとしている、そういう意図を持って動いた結果として、たどり着くのがホームページです。

つまり、ホームページを見に来る人は「何かしらの目的を持っている人」です。その目的や状況を無視したサイトは、うまく機能しません。せっかく来てもらったのに素通りされる、という状態はここから生まれます。

どんな人が、どんな状況のときに、自分たちのサイトを探し当てるのか。その想像から始めると、サイトに必要なものが少し変わってきます。

「すごさを語る」だけでは伝わらない理由

多くの中小企業のホームページを見ていると、「自社紹介」に終始しているものが多いと感じます。会社の歴史、代表の挨拶、事業内容の一覧、「品質にこだわっています」「誠実な対応をお約束します」。悪いわけではないんですが、競合他社も似たようなことを書いています。

ホームページを見に来る人が、比較・選択のプロセスにいるとしましょう。何社かピックアップして、それぞれのサイトを見比べている状態です。そういう人が求めているのは「どこの会社も言っていること」ではなく、「この会社はほかと何が違うのか」という判断軸です。

「誠実に対応します」という言葉は、どこのサイトにもあります。読んでも、選ぶための理由にはなりにくい。「具体的にどういう点で、どんな理由で、どういうお客さんに選ばれているのか」というところまで書いてあると、初めて「判断軸」が生まれます。

自社の強みを語ることは大切です。ただ、「強みを語ること」と「判断軸を渡すこと」は、ちょっとだけ違います。

ユーザーの意思決定プロセスに「入り込む」という考え方

ホームページを訪れる人の状況は、一様ではありません。

まだ問題を言語化できていない段階の人、すでに何社かと比較している人、ほぼ発注先を決めていて最終確認をしている人。同じページを見ていても、状況は全然違います。

自分が何かを購入しようとしたとき、どういう流れで動いたかを思い出してみてください。最初はざっくり検索して、いくつかのサイトを眺めて、その中から「もう少し詳しく見たい」と思ったところを絞っていく、という流れだったのではないでしょうか。そのとき、決め手になったのは何だったかというと、わりと「なぜそれを選ぶといいのか」が分かりやすいページだったりします。機能の羅列より、「こういう人にこういう理由で向いています」という言葉のほうが、比較しやすい。

どんな人が、いつ、どんな状態でやってくるのかを想定してページを設計する。それが「意思決定プロセスに入り込む」ということです。難しい言い方をしましたが、要するに「来る人の立場に立って書く」ということです。

どんな人が自分たちのホームページを見に来るか、想像したことはありますか? その人が「知りたいこと」と、今のサイトに「書いてあること」がズレていないか、一度照らし合わせてみると、何かが見えてくるかもしれません。

「差別化」を正しく伝えるということ

業種ごとに「業界の標準的な言い回し」というものがあります。例えばWeb制作なら「SEOに強い」「高いクオリティ」「高い成果」。どれも間違いではないのですが、どの会社も似たような言葉を使っているため、読んでも記憶に残りにくい。

本当に必要なのは、同じように見える会社の中で「選ばれる理由」を言語化することです。それは派手なものでなくていいと思っています。対応できる範囲の細かさ、過去に積み上げた特定の経験、作業の進め方の方針、そういった地味だけれど本物の違いが、選ばれる理由になっていることが多い。

ただ、その違いは「外から見えにくい」ことがほとんどです。自分たちにとってあたりまえのことが、他社と比べると実はかなり特徴的だった、ということが、ヒアリングをしていると出てきます。以前ご支援した製造業の方で、「うちなんて普通の工場ですよ」とおっしゃっていたのに、話を聞き込んでいくと他社ではほとんど対応していない領域で強みを持っていた、というケースがありました。自分たちだけで考えていると、そういうことはなかなか気づけません。

「選ばれる理由がない」と感じている会社は少なくないですが、外側から見ると「いっぱいあるじゃん」と思うことは多いです。そのほとんどが、それを言語化してサイトに載せるところまでたどり着いていないだけなんです。

ホームページに何を載せるかより、誰に届けるかを先に考える

ページ構成をどうするか、デザインをどうするか、というのは、本来「後から決めること」です。

先に決めるべきは「誰に」「どんな状態のときに」「何を伝えるか」です。この順番が逆になると、見た目は整っているけれど機能しないサイトができやすくなります。きれいにまとまっているのに、何か物足りない、というサイトはこのパターンが多い気がしています。

どんなページを作るかよりも前に、どんな人がどんなことを知りたくてやってくるのかを整理する。その問いに答えられる情報を用意する。そういう順番で考えると、自然とサイトの中身が決まってきます。

「機能するホームページは、作る前の設計で9割決まる」というのは、少し言い過ぎかもしれませんが、あながち外れてもいないと思っています。

「うちのサイト、ちゃんと機能してるかな」という問いを

ここまで書いてきたことをまとめると、「ホームページは、意図を持って探している人に届くツールだから、その人の状況に合った情報を渡せているかどうかが問われる」ということになります。キレイさより、機能しているかどうか、です。

「意思決定ツール」という言い方は少し硬いですが、要するに「見に来た人が、判断できるようになる情報が揃っているか」ということです。それが揃っていると、問い合わせという行動につながりやすくなります。

こんなことを書いておいて、私自身のセブンシックスのサイトがどうかというと……正直、自分のことすぎてよく分からないというのが本音です。年数を重ねるたびに、より分からなくなっています。「恋は盲目」なんて言葉がありますが、ビジネスでも自分自身のことは分からないものです。幸い、これまで10年以上、ホームページからの問い合わせだけで仕事が回っているので、まあ、及第点としておきましょう。いえ、させてください。してもいい、です、よね?なにとぞよろしくお願いいたします。

Web Designer / Developer

前田 大地

デザイン会社、システム開発会社を経て2012年にセブンシックスを設立。マーケティング、デザイン、テクノロジーに精通するオールラウンダーとして、静岡県内の中小企業に向けた戦略的ホームページ制作を開始。一方で、都内の広告代理店からの要請で大企業案件にも多数参加。企業にとって本当に必要なホームページ制作とは何か、を日々探求している。

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